二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

三嶋大社・3 丁蘭

丁蘭。よく見かける丁蘭の彫刻は木像に夫婦でお供えを捧げるシーンが多いですが、こちらは一味違います。三嶋大社のHPの解説ではシンプルに「この図は、両親の木像を拝んでいるところです」のみです。いや、母親の像しかないですよね。二人とも全く拝んでいないし。

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右端には母の像が光り輝き、丁蘭が何かの道具を両手で持ち、像に向けています。

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左手には丁蘭の妻が髪をなびかせ驚いた表情で、開いた扉の方向を見ています。強い風が吹き込んでいるようです。

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まず丁蘭が持っている道具について、最初水を汲む桶かと思いましたが三嶋大社の画像を見ると行燈のように見えます。 

文献で確認すると・・・。

「丁蘭が妻、ある夜のことなるに、火をもって木像の面をこがしたれば、瘡の如くにはれ出で、うみ血流れて、二日を過ごしぬれば、妻の頭の髪が、刀にて切りたる様になりて落ちたる程に、驚いて侘言をする間、丁蘭も奇特に思ひ、木像を大道へ移し置き、妻に三年侘言をさせたれば、一夜の内に雨風の音して、木像は自ら内へ帰りたる也。(御伽草子岩波文庫)」

「・・・丁蘭これぞ木像の罰ならめと、その妻に仰せて三年の間妻に詫び言を申しつけければ或る夜雨風激しき折から木像自らうちかへりしとなり。(漢土二十四孝伝)」

丁蘭の妻が木像に悪さをしたら妻に罰があたったので、丁蘭は木像を外に置いて妻に謝罪をさせ続けた、と(ご近所の噂になったでしょうねー)。3年後、風雨激しい夜に突然木像が自分で帰宅した、というそういうお話ですね。

そうすると三嶋大社の彫刻は、深夜、丁蘭が行燈を掲げて木像を確認しつつ、強い風が吹き込む玄関を見ている場面でしょうか。妻のほうは「なんで嵐の日に帰ってくるのよ!雨が吹き込むじゃん!」と思っていそう。

 

(以下2021年12月追記)

↓こちらは葛飾戴斗の「丁蘭」。文政5年(1822年)出版。三嶋大社の舞殿は慶応2年(1866年)12月18日の再建とのこと。三嶋大社の「丁蘭」はこの絵を参考にしたものと思われます。

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1819年 葛飾戴斗 二十四孝図会 The British Museum所蔵

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狭い空間に上手にまとめてます。