二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/廿四孝(渓斎英泉)・21 蔡順

蔡順。なぜか蔡順よりも王莽について詳しく紹介しています。孺子嬰って誰?

画像は早稲田大学図書館古典籍総合データベースより 

蔡順
漢の蔡順は字を君仲といふ 汝南と云ところの人なり
おさなくして父にはなれ母につかへて孝行なり
このころ元城の王莽と云ものあり
前漢の成帝の旧男孝元皇后の弟にして王曼と云ものの子なり
平帝の稚きを毒がいし孺子嬰の天子の位をうばひ
おのれ天子となる ここにおいて天下大いにみだれ天にわざはひあり
地にあやしきことおこりて おだやかならず夏あられふり田みのらず
飢饉におよび人みなかてつきたり
蔡順も粮(かて)つきて山にいたり椹(くわのみ)をとるに
うつはものを二つにして わかち入るる 此時樊崇といへるものに
したがひ眉にあかき目じるししたる軍勢あり
せき眉と云そのにんず ここにとほりかかり
さいじゆんがくはの実を二つにわかつゆへをとふ
蔡順こたへて云 くろくじゆくしたるは母にそなへんためなり
あかきはあぢはひすし これはわがしよくするなり
かてたらずしてこのみをもつて母をやしなふよし
こたへければ赤眉の賊その孝心をかんじ白米三斗にうしのかたももを
そへてあたへしとぞ
詩曰
黒椹奉萱圍 啼飢涙満衣
赤眉知孝順 牛米贈君帰

〇蔡順はそののち母ししていまだほうむらず
宅にかなしみゐたりしに東となりより火災出たり
にはかのことにてははのひつぎをいだすことかなはず
ひつぎにとりつきかなしみゐたるに
その火とびこへて蔡順がいへをやかず
さいはひにして火災をのがれけり
これ深孝のゆへなりとみなひとかんじけるとなん

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