二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/繪本廿四孝 (梅堂国政1885~6)・11 剡子

鹿の皮をかぶって鹿の群れに入り、猟師に殺されそうになった剡子。事情を説明中。

国立国会図書館デジタルコレクションより

剡子
剡子 鹿乳奉親 

剡子は其生時代を詳せず 相傳て孝行の(名)を称せり 父母年寄て目を煩へけるば医者を乞ければ鹿の乳を用ざれば癒難と言 然ども殺してと鹿より乳を求べき成れば鹿の皮を冠て山中に行き鹿に交て乳を求めんとす 猟人来て射取らんとす 剡子驚て声を揚て其実を告げたりければ弓矢を伏て通り係るを業なんど情心を感じ見そなはして必死の鎗を免し成る可し

ーーー

「殺してと鹿より乳を求(もとむ)べき成れば」。鹿が「殺して」と言ったんでしょうか?なにがどう間違っているのか、さあ修身二十四孝の剡子で確認しましょう。

ぜん子はその せいし(姓字?)と じたい(時代?)をつまびらかにせず 相伝へて孝行の名を称せり 父母年寄りて 眼をわづらいければ医療をとひけるに 鹿の乳を用ひざれば癒へがたし といふ しかれとも 殺したる鹿より 乳を求むべきならねば鹿の皮をかぶりて 山中へゆき 鹿に交じりて 乳を求めんとす このとき 狩人来たり 射とらんとす えん子驚き声を上げて その実(じつ)をつげたりければ 弓矢を伏せてとほりぬ かかるをさなきぎょうなれど せいしんのいたり 天も見そなはして必死のやじり まぬかれし なるべし

ーーー

「殺してと」ではなく「殺したる」ですね、これなら意味がわかります。死んだ鹿から乳は採れませんからね。さらに「求むべきなれば」ではなく「求むべきならねば」ですね。「殺してと鹿より乳を求(もとむ)べき成れば」→「殺したる鹿より乳を求むべきならねば」が正解ですね。もうグダグダ。この本(繪本廿四孝/梅堂国政)は校正作業省略しちゃったんでしょうかね。