父親のベッドメイクに励む黄香。
国立国会図書館デジタルコレクションより
黄香 扇枕温衾 後漢の黄香 字は文香(文強、もしくは文彊) 慶天道格を極め文章を能くしるお以て其名高し 九才の時に母を失ひ父に使へる元より家貧敷召使るれば自ら力を盡し夏の暑き所は夕に床を扇ぎ枕を清くし冬の寒き夜は身を以て床を温め父を臥さしめけり 如此孝行世にかくれなく尚書令(尚書省の長官)魏郡の太守に至る
※「慶天道格」って何だろうと思いましたが、「絵本二十四孝(岡田玉山)」の黄香のページで「経典(けいてん)を学び、道術を究(きは)め」と出ているのでおそらく「経典・道学」のことだと思われます。
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画像は「ARC古典籍ポータルデータベース」より
黄香 扇枕温衾
後漢の黄香字は文強は。経典を学び。道術を究め。文章を能するを以て。其名高し。九歳の時。母を失ひ。其悲みに。やせおとろへ。命も危きに至れり。素り家貧して。婢僕なければ。父につかへて。躬ら力を竭(つく)し。夏の暑き頃は。夕に床を扇ぎ。枕を涼しくし。冬の寒き夜は。床のひややかならん事をおもひ。身を以て床。又は衾をあたためて。父を臥さしめ。うしろをつくろひ。すそをおさへ。夜の中には。二三度もおきて。これをうかかふなど。侍養するを以て。其名世にかくれなく。朝廷につかへて。尚書令魏郡大守に至り。子の黄瓊。其子孫みな高官に昇進せり。礼記に。為人子之礼。冬温而夏清。昏定而晨省矣といへるは。孝子の勤る所にして。黄香の如き是也