2018-08-11 女庭訓・14 王ほう 王裒(おうほう) 書籍/女庭訓(渓斎英泉1843) 王ほう 聞雷泣墓「雷(らい)を聞いて 墓に泣く」 王ほうは営陰という所の人也 父の王義不慮のことによりて帝王より法度におこなはれ死にけるを恨みて 一期の間その方へは向かひて座せざりし也 父の墓所にゐて膝まづき 礼拝して柏の木にとりつきて 泣き悲しむ程に 涙かかりて木も枯れたるとなり 母は平生雷を恐れたる人也ければ 母むなしくなれる後にも雷電のしける折には 急ぎ母の墓所へ行き 王ほう是にありとて 墓をめぐり 死したる母に力をそへたり かやうに死して後まで孝行をなしけるをもって いける時の孝行までおしはかられてありがたき事ども也