出されたミカンを黙って持ち帰ろうとしたので袁術に咎められる陸績。
国立国会図書館デジタルコレクションより
陸績
孝悌皆天性 人間六歳児
袖中懐緑橘 遺母報含飴
陸績。六歳のとき。袁術といふ人の所へ行侍り。袁術陸績がために。
菓子にたちばなをいたせり。陸績これを三つとりて。袖にいれてかへるとて。
袁術に礼をいたすとて。たもとよりおとせり。袁術これをみて。陸績どのは。
おさなき人に似あはぬことと。いひ侍りければ。あまりに見ごとなるほどに。
いゑにかへり。ははにあたへんためなりと申しはんべり。袁術これをききて。
おさなきこころにて。かやうのこころづけ。古今まれ也と。ほめたるとなり。
さてこそ天下の人。かれがかうかうなることをしりたるとなり
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ミカンが三つ転がってます。
雨引観音の陸績。欄間彫刻のようにスペースが限られていて、しかも高い場所にあると単純化されがちですね。袁術と陸績、二人の間にミカンが一個。
ーーー 御伽草子13 二十四孝 終 ーーー