董永。天に帰る織姫を見送るシーンですね。
国立国会図書館デジタルコレクションより
董永
葬父貸方兄 天姫泊上迎
織絹償債主 孝感盡知名
董永は。いとけなき時に。母に離れ。家貧にして常に人に雇はれて。耕作をし。賃を取りて。日を送りたり。父老いて。足も立たざれば。小さき車を作りて。父を乗せて。田のあぜにをいてやしなひたり。有時父にをくれ。葬礼をととのへたく思へども。もとより貧しければ。かなはず。されば。りょうそく(料足)十貫に身を売り。葬礼をいとなみ侍り。さてかの銭主のもとへ行きけるが。道にて。一人の美女にあへり。かの人。董永が妻に成るべしとて。ともに行きて。一月にかとりの絹。三百疋織りて。主の方へ返したれば。主も是を感じ。董永が。身を許したり。其後。婦人董永にいふやう。我は天上の織姫なるが。汝が孝行を感じて。我を下して。負目をつくのはせりとて。天へあがりけり。
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日立市船見山天満宮の董永。織姫はお迎えの二人と一緒に雲の上。