残りお二人になりました。今日は親をかばって蚊に刺されまくる呉猛くんです。
1819年 葛飾戴斗 二十四孝図会 The British Museum所蔵
夏夜無帷帳 蚊多不敢揮
恣渠膏血飽 免使入親闈
呉猛は八歳の時より孝心ふかき人なり然れども家まづしく
よろづ心にまかせざりける、夏の夜に帷帳さえなくて蚊を
ふせぐことならざりしかは、呉もうみづから赤はだかになり
わがきぬをおやのすそにかけて、わが身を蚊にくわせなば
蚊も(はら)にあきておやをばさゝざるべしとおもひ
いつとても夜もすがらわが身を蚊にくわせておやのかたへ
蚊のゆかぬやうにうちわにてはらひのけつゐにわが身は蚊のために
あくまでさゝれすこしもいとふことなく、おやをたすけしとぞ子たる
ものゝおやに事るはかやうになくともせめて不孝にならざるやうに
有たきものなり、絵にかけるさえいともあはれなるに泪をながさぬはなし
いかにくるしからざらんや
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呉猛の後ろの床にあるのは開いた本ですね。閉じた本の上に、開いた本。マンガではありません。父親のほうへ行く蚊を団扇で仰いで追い払いながら、勉強しているようです。父親はいい夢でも見てるんでしょうか、微笑んでいます。オニ!あくま!
貞泉寺の呉猛。