薪採りの最中に胸騒ぎを感じて急いで帰宅した曽参。薪はちゃんと担いで帰ってきました。孔子の弟子ですが、子路や閔子騫のように孔門十哲のメンバーには入っていないんですね。
ARC古典籍ポータルデータベースより
曽参
山東兗州府嘉祥縣の人也 孔子の弟子曽子の事也
家まづしけれど道を。まなびて道統の伝をつぎたる人也
母指纔方噛 児心痛不禁
負薪帰未晩 骨肉至情深
母指纔方噛とは曽参が留守に。人きたりければ。いまかへれかしとおもひて
母ゆびをかみたる也。わづかにかむとは そとかみたる也
児。心いたんでたへずとは。児はちごといふ字にて。そうしんが事也
心はむね也 山に。たききを。とりて居けるに。俄にむねがいたみて
たへがたき也。母のかへれかしとおもふ一ねん(一念)と。そうしんがつねつね
孝行の心と。つうじたる也
負薪て。かへることいまた。をそからずとは そのまま曽参か帰りたる也
骨肉しじやうふかしとは。おやこの間を云なり。こつは。ほねにて父の
おん。にくはししむらにて母のおん也。至情とは。おやこの間。なさけふかく
して。ゆびをかみたれは。そのいたみ。そうしんがむねへ。こたへけるは。
さてもさてもふかきはおやこの間かなとかんじたる心也。
▲そうじて曽参の事は人にかはりて。心と心の事をのべたり。とおき山中に
いけるにむねさはぎける事は。おやかうかうにしてつねつね。むつましきゆへ
天道より母の心をしらせたまふ也
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曽参、お客さんが来たから早く帰ってきておくれー。
思いを込めて指を噛むお母さん。思いっ切りではなく、そっと噛んでたんですね。
結局来客は曽参と会えたのか、それとも会わずに帰っちゃったのかは謎。
滑河観音の曽参。