体温で氷をとかして魚を捕まえる王祥。
ARC古典籍ポータルデータベースより
王祥
魏の代の人なり。いとけなくして母にはなれたり。父又妻を持
名を朱子と。いひけり。継母のならひなれは。父子の中をあしく。
いひなして。にくませけれども。うらみとも。おもはず。かへつて。
かうかうをつくしける人也
継母人間有 王祥天下無
至今河水上 一片臥氷摸
継母人間にありとは。けいぼといふもの。人間の中には。あるならひ
なりといふ事也。
王祥天下になしとは。まへにいふごとく。継母といふものは世上に。
たくさんありて。まま子を。にくむものなるが。王祥か。やうなる。
まま母に孝行なる。ものは天下になしと。ほめて。作りたる也。
いまに至て河水上とは。まま母のさむきに。生うをを。ねがいければ
王祥其まま。肇慶府といふ所の川へゆきて魚を。もとめけれども。
氷とぢて。更に魚みゆる事なし。せんかたなく。裸になりて氷の上に。
ふしけれは魚二つおどり出たる也。其事をかくいふ也
一片氷摸にふすとは。王祥氷の上にふしたるあと。ありありと。後の世まてある也。
氷摸とは。氷は。こほり。摸は。いかた(鋳型)。とよむ文字也。
王祥がすがたの氷の上にあるは。さながらいかた(鋳型)にて。物をうつしたる。
やうなりとの心也
▲誠に孝行の心天理にかなひ其跡氷の上に。毎年つく事は。末代の人の子たる。
ものに。みせしめ。王祥がごとく孝行をつくせば。かかるふしぎありと。
天より。しめし給ふ也。又不孝なるものには鬼神心に入かはりあくをすすめ身を
ほろぼし。子孫ながく絶るも天道にくみ給ふ故也
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毎年氷の上に人型が現れる・・。怖い。
こちらは印刷のはっきりしている別の本。王祥の身体の線がよくわかります。
脱いだ着物が木に掛けられてます。