二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

漢土二十四孝伝・17 ゆ黔婁(ゆきんる)

ゆ黔婁は南斉の人にて父に仕へて孝行なり。あるとき父大病に冒されて医師も{ほとほと}{困}じたれば、その{  }ゆ黔婁は病の善悪を{医師}に問ひけるに医師答えて曰く、病人の糞を舐めて知るべしと{なり ただし}苦きは良く、甘きは病癒ゆべからずと云ふ。
黔婁、易きことなりとて密かに病人の糞を舐め試みるにその味わひ甘かりしかば黔婁憂ひ悲しみて医師にその術なきや否やと問ふに医師も{いざい}尽きてせん術なしと答ふ。
黔婁いよいよ悲しみに耐えず、きっと心に思案なしてその身を洗ひ清め家の後ろの高き山にうち登りて北斗星を祈ること昼夜を厭わず。願はくは天星、それがしが志を哀れみたまひて我が生命を縮めたまひて父の命に代はらせ速やかに病平癒なさしめたまはれかしと丹精を凝らしければ日ならずして{父}の病本復なし長く無病にてありしとぞ。真に孝心の徳を天も哀れみたまふなるべし。
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【あらすじ】
ゆ黔婁は大病に冒された父の具合を医師に尋ねたところ、大便を舐めて苦ければ助かる、甘ければ治らないと言われました。早速試したところ甘かったので非常に悲しみました。そして身を清め裏山に登り、「私の命を縮めて父の命を救い給え」と北斗星に祈りました。するとまもなく父親は快復しました。

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モチーフ。
1.ゆ黔婁
2.北斗七星
3.祭壇
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