二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

漢土二十四孝伝・6 蔡順(さいじゅん)


蔡順後漢末の汝南の人なり。幼くして父に離れ母に仕へて孝行大方ならず。この頃王莽(おうもう)といへるもの謀反して天下大いに乱れ田畑実らず飢饉に及び糧尽きける故、蔡順桑の実を取るに器物を二つにして分かち入れる。

このときまた赤眉(せきび)の賊といふあり。ここに通りかかりて蔡順が桑の実を二つに分くるをいぶかしみ問ひければ、蔡順答へていわく、この頃飢饉にて糧(乏しく?)この桑の実を取りて母に与ふるに、黒く熟したるは味わひ甘ければ母に与へ、赤きは味わひ酸し、これは我が食す(る)なりと答へければ、賊その孝行なる志を感じ白米三斗、牛の(かたもも)を与へければ蔡順喜びて家に持ち帰り、母にこのことを物語りて与へ我も食せしかど一期の間尽きざるとなん。

その後母死して、いまだ葬らざるにその村に火災ありてすでに蔡順が家に火移らんとするとき蔡順、柩(ひつ)に取り付き泣き悲しみけるがその火、蔡順が家を除きて他の家を焼き(つつが?)なきことを得たりけれ

葬礼を営みてのち太守韓宗(韓崇?)、その孝心を伝へ聞き東閣祭酒といへる官を授けらる。亡母雷を嫌ひければ亡きのちまでも雷の鳴るたび毎には墓へ行きて雷の鳴り止むまで守護してありければ太守感じ給ふこと大方ならず重く用ひたまひしとぞ。
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【あらすじ】
蔡順が桑の実を母と食べるとき、母には熟した甘い実を、そして自分にはまだ熟していない酸っぱい実を、とよりわけていました。そこへ盗賊団「赤眉」が現れこの話を聞き、蔡順の孝心に感動し、お米と牛の足をくれました。


蔡順が盗賊から貰ったお米。多分このお米は盗賊がどこかの農家から分捕った物なんですよね・・・。
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必須モチーフ
1.蔡順
2.桑の実を入れるカゴ
3.赤眉
4.白米
5.牛の足
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