22番目も兄弟。こちらは田真・田廣・田慶の三人兄弟。
田真 田廣 田慶でんしん でんくはう でんけい
この三人は兄弟なり 親に後れて後 親の財宝を三つに分けてとれるが 庭前に紫荊樹とて 枝葉さかへ 花も咲き乱れたる木一本あり。これをも三つに分けて取るべしとて 夜もすがら三人詮議しけるが 夜すでに明ければ 木を切らんとて 木の下へいたりければ 昨日まで さかへたる木が にわかに枯れたり。田真これを見て 「草木心ありて 切り分かたんといへるを聞きて 枯れたり。まことに人として是をわきまへさるべしや」とて分かたずして おきたれば また 再びもとのごとく さかへたるとなり。
親の遺した木を伐って分ける相談中の三人。この三人が親孝行だったのかどうかは全くわかりません。