二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/廿四孝(渓斎英泉)・13 王祥

王祥は見開きです。一般的な「1.氷が融けて鯉が飛び出す話」のほかに「2.継母が食べたいと言った雀が家の中に集団で飛び込んでくる話」「3.スモモがなっている木の見張りを言いつけられて、風雨のたびに木にとりついて泣いた話」「4.継母が王祥を毒殺しようとする話」など盛りだくさん。

画像は早稲田大学図書館古典籍総合データベースより 

王祥

晋の王祥 字は休徴 不幸にしてはやく慈母を失へり
継母を朱子と云 まま母のうみし子を王覧といへり
母覧を愛して祥をにくみつねづね父のまへにて讒を
かまへあしざまにいひければ 父継母の言葉につきて
祥をうとんず されども王祥は孝のこころざしをあらためず
父母につかへておこたらず
ある時 母冬月に生魚を食せんことをのぞめり
祥は日ごろ母の不義なることをもうらみず
池にゆきてみるに氷とぢて魚をもとむるに便りなし
いかにもして母のねがひにみてんと あかはだかになりて
氷のうへにふす
おのれが身のあたたまりにて氷のとけんことを思ふ孝心
天につうじていけの氷とけて鯉二つおどり出たり
よろこび持かへりて母にそなへけり
それよりかの池の氷のうへに祥がふしたる形のこりて
年々かはることなしといへり
又ある時けい母すずめをやきてくはんとのぞめり
祥これをとらへんと思へば雀四五十いへにとび入りけり
これをとりて母にそなへぬ
また李の実をむすびたるをけい母 祥にまもらしむ
風雨のたひに木にとりつきてなきかなしむゆゑ
つひに実おつることなし
祥が弟五六才のとき母祥をむちうつことあれば
兄弟たがひにかなしみわびけり
祥つまをもち弟の覧も妻をむかへ
たがひに孝のこころざしふかし
まま母祥をどくがいせんとせしかば
おととの覧まづくらはんとするをみて
まま母おどろきてすてたり これよりけい母も
やうやう心をとりなほして祥をふかくにくまずなりけり
実に祥がこころざしならびなき孝子なりときく人かんじあへりける

詩曰
継母人間有 王祥天下無
至今河水上 一片臥氷摸

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