国立国会図書館デジタルコレクションより
閔子騫
閔氏有賢郎 何曽怨晩娘
尊前留母在 三子免風霜
閔子騫いとけなくして。母をうしなへり。父。また妻をもとめて。二人の子をもてり。かの妻。我が子をふかく愛して。継子をにくみ。寒き冬も。葦の穂を取りて。きるものに入れて。着せ侍る間。身も冷えて。たえかねたるを見て。父。後の妻を去らんとしければ。閔子騫がいふやうには。かの妻を去りたらば。三人の子。さむかるべし。今我一人。寒きをこらへたらば。弟の二人は暖かなるべしとて。父をいさめたるゆへに。是を感じて。継母ものちにへだてなく。いつくしみをくはへて。もとの母と同じくなれり。ただ人のよしあしは。みづからの心にありと。古人のいひ侍りけるも。ことはりとそおもひ侍る
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