唐夫人は唐の代、崔カン(さいかん・崔琯?)といへるものの妻なり。姑「ちょう夫人」年老ひて歯一枚もなし。食物も食らうことあたはず。されば嫁の唐夫人これに仕へて至孝なれば、食物の代わりに我が乳を与へて飲ましむること四五年姑食せざれども息災なり。かくてちょう婦人老病に打ち伏し親族集まりて看病す。そのとき老母は枕をもたげ{か はら}のものに云ひけるは、我はこれまで嫁の乳飲みて命を永らへたり。その恩を報ふことあたはず。何卒若き者共は嫁の唐夫人が我に仕へしごとくにして、かれに孝行の恩を報じくれよとてそのままに死したりとなん。貞烈の鏡たるべし。
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【あらすじ】
唐夫人は年老いて歯がなくなった姑に自分の乳を与え飲ませました。
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モチーフ。
1.唐夫人
2.姑
3.幼子
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