2018-08-09 女庭訓・12 楊香 楊香(ようきょう、ようこう) 書籍/女庭訓(渓斎英泉1843) 「虎をとらへて 父を救ふ」 楊香は一人の父をもてり ある時父と共に山中へ行きしに たちまち荒き虎にあへり 楊香父の命を失はんことを怖れて 虎を逐ひさらんとし侍りけれども かなはざるほどに 天の御あはれみを頼みこひねがはくは 我が命を虎に与へ父をたすけたまへと 志を深くして祈りければ さすが天もあはれと思ひけるにや 今まで猛きかたちにて 取くらはんとせし虎 俄かに尾をすへて にげしりぞきければ 父子ともに虎口の難を免れ 恙なく家に帰り侍るなり これ孝行深き故にかやうの奇特をあらはせるなるべし