こちらも先頭集団のレギュラーメンバー、楊香。はっきり「楊香は女」と書いてありますね。意外と性別は書いてない本が多いんですよね。
画像は早稲田大学図書館古典籍総合データベースより
楊香
楊香といへる女は晋の代魯国の人
楊豊と云人のむすめなり 年十四の時
田園といふて耕地に出 粟をとらんとするをりふし
猛虎きたりて父をひきくはへてゆかんとす
楊香女のことなれば 手に一寸のきれものもなし
されども日ごろ孝心ふかきものなれば
わが身にとらをおそるる心もなく
虎のひらくびにとりつき 父をたすけてわれをくらふべしと
なげきければ たけき乕(とら)なれども此孝心に感じてや
楊豊をはなしたり
それのみならず たけきいきほひもあらはさず
尾をたれて山のかたへにげさりけり
至孝の篤にあらざれば ふりょのわざはひ
虎口をのがれがたけん 父子つつがなきは孝行の
徳によるものなり
詩曰
深山逢白額 努力搏腥風
父子倶無恙 脱離纔口中
此詩結の一章異同あり
脱身纔甲中と書たるもあり
白額腥風ともに虎の異名なり
恙は人を害せる虫なり
昔しょにんなんぎせしゆへ
へだたりたる道のあんぴをとふに
つつがなきを云なりとぞ
〇楊香が其所の太守孟肇之(もうちょうし)といふ人
この事をききて大いに称歎し楊香に米あまたをあたへて
孝行を尽さしめけるとぞ
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楊香は親孝行のご褒美で、お役人からお米を貰ったようですね。お米いただけると助かりますわね。