唐夫人は姑長孫夫人年たけて よろづ食事歯にかなはざれば 常に乳をふくめ或はあさごとに 髪をけづり其外よく仕へて数年養ひ侍り ある時長孫夫人わづらひつきて この度は死せんと思ひ一門一家を集めていへる事は わが嫁唐夫人の数年の恩情を報ぜずして 今死せんこと残(のこり)多し 我が子孫この唐夫人の孝義をまねて有るならば かならず末も繁盛すべしといひ侍り かやうに姑に孝行なるは 古今まれなりとて人みな 是をほめたりと さればやがて むくいて 末繁盛すること 極まりもなくありしとなり
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社寺の彫刻で見かける二十四孝の中で、唐夫人は題材としてよく見かけます。見た目のインパクトは一番強くてわかりやすいですね。ほかの孝子と見間違える可能性ゼロ。猛暑だ台風だと、なかなか遠出が出来ないこの夏。涼しくなったら彫刻見に行きたいという気持ちが募ります。