胸騒ぎを感じて急ぎ山道を駆け降りる曽参。鎌と薪を放置。
画像は「ARC古典籍ポータルデータベース」より
曽参 齧指痛心
曽参。 字は子輿。魯の南。武城の人なり。孔子の御弟子にて。道統の伝をつぎし人なり。其孝心あつきを以て。孔子。これが為に孝経を授給へり。或時。曽参。山中へ薪を採に行れしあとへ。 母のしたしき人来りければ。母もてなしたくおもひ給へども。曽參家にあらざれば。こころにまかせざるがゆゑ。我子はやくかへれかしと思ひつつ。何となく。自ら指を噛給ひけるに。山中にありし曽参。たちまち心痛けるにおどろき。母の御身の上。こころもとなく。薪をうちすてて。いそぎ帰見るに。客は既にかへり。母はまちわひ給へるさまなり。曽参心の痛し故。はやくかへれるよし申されければ。母はありし次第をかたり。孝子の親を忘ざる。誠の志を感じ給ひけり。
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来客はお母さんの知り合いですね。「薪はうち捨てて」、母のもとへ急ぎます。
さいたま市調神社の曽参。調神社の二十四孝彫刻は岡田玉山の絵を多く参考にしているようです。
三年前の自分の記事を読むと「薪があるから曽参だろうけど母親がいない」と書いてある。居ないはずよね、曽参はまだ山の中だもの。