孟宗。右上にある家の中では母がタケノコを待っているものと思われます。
国立国会図書館デジタルコレクションより
孟宗
涙滴朔風寒 蕭蕭竹數竿
須臾春笋出 天意報平安
孟宗は。いとけなくして。父に後れ。ひとりの母をやしなへり。
母とし老いて。常にやみいたはり。ものの味はひも。たびことにかはりければ。よしなきものを望めり。冬の事なるに。たけのこをほしく思へり。すなはち孟宗。竹の林に行き。求むれども。雪ふかきおりなれば などかたやすく得べき。ひとへに天道の御あはれみを頼み奉るとて。祈りをかけて大きに悲しみ。竹によりつきゐたりける所に。にはかに大地ひらけさけ。竹の子あまた生ひ出侍り。大きに喜び。すなはちとりてかへり。あつものに作り。母に与へ侍りければ。母是を召して。其のまま病も癒へて。よはひをのべたり。是ひとへに孝行の深き心を感じて。天道より与へ給へり
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飯綱神社の孟宗。
宝登山神社の孟宗。