二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/二十四孝諺解・24 剡子 (完)

剡子。ふりがなは「せんし」になっているので「せんし」か「ぜんし」ですね。本によっては「えんし」と読んだりちょっと違う字で「たんし(郯子)」と読んだりいろいろです。鹿の格好して鹿の群れの中にいたために狩人に狙われた人です。

ARC古典籍ポータルデータベースより

剡子

伽夷国の人なり 二親に孝をつくされける也

老親思鹿乳 身掛褐毛衣
若不高声語 山中帯箭皈

老親鹿乳をおもふとは。老たるおや両眼あしきゆへ鹿の乳を
ほしく。おもへるなり 鹿乳は。鹿の乳の事なり 

身に褐毛の衣をかくるとは。ししの皮をかぶり山中にいたり。
あまたの鹿の中へまきれ入て。鹿の乳をとりて親のねかひを。
かなへんとおもふ孝行の心あはれ也。

若高声にかたらすんは。とは剡子ししの皮をかぶり。けるを狩人
まことの鹿とおもひ。すでに。いころさんとす。其時剡子声を
あげて我は。まことの鹿にあらす。親の望を叶んため。かたちを
やつし鹿の乳を。とりにきたる也 我は剡子といふもの也と
すがたをあらはしけれは狩人おどろき。其故をたづねければ。
ありのままにかたる。是孝心にあらずんば山中にやをおびて。
帰らんと也

▲誠にあやうき。いのちをのかるる事も。たた一すじに親のねがひを
かなへたくおもふ心。天道しろしめして狩人のきたるを。
はやくしらしめ給ふ。是孝行のせつなるゆへ也
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射られそうになったときの矢を持っています。この格好では当たっても文句言えませんね。

 

ーーー 書籍/二十四孝諺解 終