二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

漢土二十四孝伝・14 えん子(えんし、ぜんし)


えん子は周の世、かい国の人なり。生まれえて孝心深く二親年老ひて両眼を患ひ鹿の乳を薬にせんと求めければ、えん子孝心篤きもの故自ら工夫を凝らし鹿の皮を身にまとひて鹿多き山に入りて乳を求む。

狩人これを見て弓に矢をつがへ既に射んとせしを、えん子驚きて曰く、我は真の鹿にあらず。年老ひたる父母目の病を患ふければ鹿の乳を求めて薬にせんと思へば、かくの如き形をなして鹿にその身を出で立ちたり。哀れ矢先を見逃したまはれと語るを聞いて、狩人も、つがへし弓と矢を控へ、その志を大ひに感じそのまま麓へ下りけり。

えん子はそれよりまた鹿の皮をうち纏ひ山また山に経めぐりて、ようやくにして鹿の乳を求めたれば壺の(うち?)へこれを絞りて我が家を指して持ち帰り、二親に与へしかば目の病は月ならず癒えて健やかになりけるとぞ。かかる不思議の鏃(やじり)を逃れ鹿の乳を得たること、孝行の徳、天のめう( )といふべきなり。

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【あらすじ】
えん子は両親が目を悪くしたので目薬になる鹿の乳を取りに山へ行きました。でも鹿皮を身にまとって探しまわってたら猟師に討たれそうになっちゃった。事情を話したら猟師は感動して帰って行ったよ。

鹿の格好してるからわかりやすい。象やトラなど、動物が出てくる系の彫刻は誰のお話かすぐわかってありがたいですね。それにしても、討たれても仕方ない格好です。

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モチーフ。
1.鹿の皮を着た、えん子
2.狩人
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