8番手は董永。
董永どうえい(「とうえい」ではなく「どうえい」と書いてある)
董永はいとけなき時に 母に離れ 家 貧にして常に人に雇はれ 農作をし 賃を取りて日を送りたり 父老ひて足も立たざれば 小車を作り 父を乗せて田のあぜにゐて やしなひたり。有時父におくれて葬礼をととのへたく思ひはべれども もとより貧しければ かなはず。 りょうそく(料足)千貫に身を売り 葬礼をいとなみ侍り。さて かの銭主のもとへ行けるが 道にて一人の美女にあへり かの人董永が妻に成るべしとて ともに行きて 一月にかとりの絹三百疋織りて主の方へ返したれば 主も是を感じて董永が身を許したり。其後 婦人董永にいふやうは 我は天上の織姫なるが 汝が孝を感じて我を下して 負目をつくのはせり とて天へぞあがりけり。
料足・・・代価。千貫・・・御伽草子では十貫。 かとり・・・細い糸で堅く織った絹の布。
董永と織姫の別れのシーン。雲に乗っているので別れのシーンと分かります(出会いは路上で、一般人のふりしてましたからね)。残された董永にはこれからまた寂しい生活が待っているのねー。
「御伽草子」はじめ、ほかの書籍は葬儀代で借りた金額が「十貫」と書かれているのに、なぜかこの本では「千貫」。
とあるサイトによると銭1貫の価値は75,000円~300,000円くらいまでと変動激しかったようです。
最低レートで換算すると10貫→約75万円。葬式代としても、また夫婦が一か月くらい一生懸命働いて返済可能な金額としても、まあ妥当な線ですね。
でも千貫になると7500万円。気が遠くなる金額です。織姫大挙してこないと返済厳しそう。