「孟宗」といえば鍬でタケノコを掘っている場面が主流ですが、こちらの絵では収穫を終えて帰路についているところですね。竹林すら描いていません。鍬にタケノコ2本結わえて雪深い山道を下る男性。顔も見えません。彼の眼は右ページ奥にある集落の中の、母が待つ我が家を見ているのでしょう。餌を探す雀の群れが空間を感じさせてくれてます。
1819年 葛飾戴斗 二十四孝図会 The British Museum所蔵
孟宗
泪滴朔風寒 簫々竹数竿
須臾春筍出 天意報平安
孟宗はいとけなくして父におくれひとりの母をやしなひけり、
母いたく年老て常にやみいたはり
食事の味ひもかはり、めづらしきものをのみこのみける
冬の雪ふりける頃なるに笋をほしくおもへり
孟宗これをきき今厳冬のゆきふかくして笋有るへき時節
にあらずといへども年老たる母のやまひにかかり玉ひ
今をもしらざれば又来るとしの笋の時せつまではなを覚つかなく、
あはれひとふしにても母ののぞみを叶へ奉らんと、雪をわけ竹林に至り
天にいのりければ、ふしぎなるかな笋あまたはへ出たり、大に悦び取て
母にたてまつりければ其まま病いへてよはひなをし久しかりけるとぞ、
是より孟宗が孝心の深きことを世につたへんとてか
雪中の笋今もはへ出るとなん
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崩し字勉強中です。間違いやお気づきの点があったら教えて下さいね。