8人目は王裒。風雨雷鳴激しい中、母親の墓前で優しく話しかけてます。お墓に覆屋を作ればよさそうなものだ、とかそういうことは言いにくい雰囲気ですね。
画像は早稲田大学図書館古典籍総合データベースより
王裒
晋の王裒は営陵といふ所の人なり
字を偉元と云 父は王儀とて晋の文帝につかへしに
罪なくして命をたたれ王裒これを恨 一期のあいだ都の方へむかふて座せず
幼きより操をもととしまづしけれともへつらはす
身におうじて耕しおごらず 父のはかにまうで
ひざまづきかなしむ なみだにてかたはらの木もかれたりとぞ
母そんざいのとき雷をおそるる人なりければ みまかりてのちも
風雨らいめいするときは王裒はかしよにいたり
世にある時のごとく
母ぎみ らいをおそれ給ふな ここに付そひ奉るとなみだをながして
ひざまづき雷のはるるまでさることなし
まことに孝心のふかきこと餘はおしはかられてあはれなりしとぞ
詩曰
慈母怕聞雷 氷魂宿夜臺
阿香時一震 到墓廻千回
〇阿香は雷の異名なり 事文類聚に見えたり
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