二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

張孝兄弟(ちょうこうきょうだい)

張孝張礼兄弟なり。世間飢饉の時に八十餘りの母を養へり。木の実を拾ひに行きたれば、一人のたへつかれたる者来て張礼を殺して食はんと云へり。

張礼云ふ様は、「われ老いたる母をもてり、今日はまだ食事を参らず候程に、暇を賜はれ、母に食を参らせ、やがて参らん、もし約束たがへば家に来て一族まで殺し給へ」と云て約束の如くに彼の者の所へ行きける。

兄の張孝是を聞きて、又跡より行き盗人にいへる様は、「我は張礼より肥えたる程に食するによかるべし、我を殺して張礼助けよ」と云へり。又張礼は「我はじめより約束なり」とて、死を争ひければ、彼の無道なる者も兄弟の孝を感じて、共に死を免し、かやうの兄弟古今稀なりとて、米二石塩一駄与へたり、是を取りて帰りいよいよ孝道をなせりとなり。

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【あらすじ】張孝(ちょうこう)はお兄さん。張礼(ちょうれい)は弟。二人で年老いた母を養ってました。ある日弟の張礼が盗人に襲われ殺されそうになりました。「お母さんにご飯食べさせてくるから待ってて」と約束し、母親の食事の世話を済ませてから盗賊のもとへ戻りました。お兄さんも盗賊のところへ行き、「私のほうが太って美味しいよ」と自分の命を差し出しました。盗賊たちは兄弟愛に感心して二人を殺さずに、お土産をくれて帰してくれました。
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千字文岩波文庫) P.70 「恭惟鞠養 豈敢毀傷」の李注。
ほぼ同じ内容ですが、兄弟の名前が入れ替わっています。千字文注では兄の名前が張礼で、盗賊に出会って家に戻ります。そして弟の張孝が兄の身代わりになろうとします。

・中国の「三字経」という本の中に、「趙孝」と「趙礼」という兄弟のお話があるそうです。兄弟が盗賊につかまり、お互いに自分の命を差し出し、兄弟の命乞いをし合い、感動した盗賊に二人とも解放されるというお話とのこと。「趙孝爭死」っていうそうです。
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必須モチーフは

1.張孝と張礼

2.盗人

3.木の実の入った籠
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