二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

初頴日記故事・16 ゆ黔婁






南斉の時ゆ黔婁といへる人は せん陵県といへる所の奉行になり はじめてかの縣に到り 十日もたたざるに にはかに むなさはぎして身より汗を出しければ そくじに官を捨てて 我が家にかへりぬ時に ゆ黔婁が父大きに悩む事 二日になりたり 医者のいへるは病のよしあしをしらんとならば 病人の糞を嘗めてみよ 糞苦くはよからんといふ 黔婁父の糞をなむるに 味あまければ 大きにこれをうれひ さて夜になりて 北辰の星をいのり わが身父にかはりて 死せん事を告げいのりしとなり 
は病のいゆる也 劇は病のおもる事也 
とは額を地に付 礼をするなり
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縣にいたりて旬日と十日たたざるに 父の病をきき 身をもつてかはらんとして 北辰をいのりうれへたりと也 椿庭とは父の事なり 椿は荘子にみへたる八千歳を春とし 八千歳を秋とするいのちながき木也ゆへに 父のいのちながからん事を欲して父にたとへていへり