二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

初頴日記故事・18 蔡順





漢の世に蔡順といへる人は字を君仲といへり 狐とは幼き時父にわかれたるをいふなり 母につかへ孝ありしとぞ 王莽といへるもの天下を乱せし時 歳荒と飢饉にて食物なし 蔡順椹(桑の実)をひろひて母をやしなふ 異器とは いれものを二つもちたるなり 赤眉の賊共 来りて見てふしぎに思ひ わけを問ふに蔡順こたへて曰 いれものを二つもちたるは椹をひろひて黒きものを母にたてまつり 赤き椹をは わが食にせんがためなりといひしとなり くろきものはあまく 赤き物は酸ければなり かの賊ら その孝をあはれみ白米三斗と牛のかたあしをあたへて去りしとなり
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黒椹はあまきくはのみなり 萱とは母をさしていふ 萱とは詩経に焉得草 言樹之背とありてとは忘るる事にて 萱の字と同じと注あり 萱は宣男草といひて 婦人その花を常に帯にすれば 男子を産といへり 故に母を萱堂といふ 蔡順飢へて啼て居る時赤眉の賊来りて孝心にめでて 牛米をあたへたると也 君は蔡順をさす