わが子を埋めようとしたら黄金の釜を掘りだした郭巨。子どもの命を失わずに済んだ奥さんが涙を流しています。この「黄金の釜」は「黄金のたくさん入った釜」ですね。黄金製の釜ではなく。
『和漢廿四孝』(東北大学附属図書館所蔵) 出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/100445689
郭巨(くわくきよ)
郭巨は後漢の代 河内といふ所の人也
家まづしくて母をやしなひ 二才なる一子あり
母つねにその孫を愛してわが食をわけあたへける
郭巨つまにむかひいふやう
つねに母の食をみてるほど勧ることあたはず
しかるにその内を又わけて孫にあたへ給ふを
見れば食とぼしくてしのびがたし
しょせんふうふの中の子は又まうくることもあるべし
朝日(あした)もはかりがたき母はふたたび得がたし
わが子を殺して母を心よく養んと穴をほり
子をうづめんとしてはからず黄金の釜を
ほり出しこれにて子をも殺さず母をも心よく養ひしとかや
これ大いなる孝の徳也
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