夏は布団を仰いで涼しくしてから、冬は体温で布団を温めてから父を寝かせた孝行息子の黄香。右ページ上部には黄香の親孝行ぶりを褒めたたえた高札が掲げられて、人々が読んでいます。黄香の家を高台に持ってきて、高札と家の間に川を描いて、高さや距離を明確にする・・・上手いねー。
1819年 葛飾戴斗 二十四孝図会 The British Museum所蔵
黄香
冬月温衾煖 夏天扇枕涼
児童知子職 千古一黄香
黄香はあんりやうといふ所の人なり、九才の時母におくれしがよく父につかへ
て孝をつくせり、夏の夜のきわめてあつきには枕ゆかなどをあほひで
すずしめ、また冬の至て寒きときはふすまのひへわたりてつめたき
ことをおもひやり、わが身にそへてほどよくあたためて後父をねさしたり
よろず何につけてもふかく心を用ひ父のこゝろに叶ひければ太守柳賢とい
ひし人その孝行の次第をくはしく木札にしるし、ちまたに立て世
にしらしめ誉たりしかは、みな人ごとに黄香こそたぐひまれなる孝行
ものなりとうらやみ是を学び一村賢を学ぶのたとへ有難きことならずや
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高札もしっかり彫られてます。
こちらが高札部分の拡大図。彫師さんがどの三人をピックアップしたかわかりますね。