董永。機織道具一式とともに天に引き上げていくところ。
1819年 葛飾戴斗 二十四孝図会 The British Museum所蔵
董永
葬父貸方兄 天姫泊上迎
織絹償債生 孝感尽知名
董永はいとけなき時母にはなれ家ひん(貧)にして常には人にやとはれて
耕作し賃をとりて日をおくりたり、父老てあしも立ざればさゝやかなる
車をつくりて父をのせ田のあぜに置てやしなひけるが終に父をさきだて
葬礼のいとなみせんにもその料足なければ心にまかせず、己が身をうりて
十貫の銭を調へ葬式をとり行ひけり、夫より銭主の元へ行道にてひとりの
美女董永が妻に成べしとて来る、しか/\のわけなりと辞すれ共、
聞いれずやがて銭主のもとへ来りひとしく奉公して一月の内に絹三百疋
おりて主のかたへ十貫文を返したれば董永が身を免されたり、夫より
婦人は天上して失たり是天よりおり姫を下して孝子をすくひたまへり
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「絹三百疋」の「三」は異体字です。
彫刻では織姫が手に「杼」を持っているのはよく見ますが、機織り機まで彫られているのはあまり見たことないですね。葛飾戴斗の作品をいくつか参考にしていると思われる三嶋大社の董永は機織り機もちゃんと入れています。
いやーん、細かい~。