二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

書籍/二十四孝教近道(北尾重政二世1832)・18 蔡順

桑の実を分別していたので命拾いした蔡順。

国立国会図書館デジタルコレクションより

黒椹奉親闈 啼飢泪満衣
赤眉知孝順 牛米贈君帰

蔡順(さいしゆん)

蔡順は汝南といふ所の人なり
王莽といへる人の時分の末に
天下大にみたれ又飢饉して 食事に乏しければ 
母のために くわのみをひろひけるが 
熟したると熟せざるとをわけたり
此とき世のみだれにより 人をころし はきどりなどする者ども来て
蔡順に問ふ様は なにとて二色にひろひ分けるぞといひければ
蔡順 ひとりの母をもてるが この熟したるをは母にあまへ(あたへ?) 
熟せざるは我ため也と語りければ 心つよきふ道(不道)の
ものなれども かれが孝をかんじて
米二斗と 牛のあし一つあたへてさりけり
その米と牛のももとを 母にあたへ またみづからもつねに食すれども
一期のあいだ つきずしてありたりとなり
これ孝行のしるしなり

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栃木市 太山寺観音堂の蔡順