漢文帝。母親の薄太后に、帝自ら味見を済ませた食事を運んでます。
国立国会図書館デジタルコレクションより
漢文帝
仁孝臨天下 巍々冠百王
漢廷事賢母 湯薬必親嘗
漢文帝は。漢の高祖の。御子なり。いとけなき御名をば。ごう(恒)とぞ申はんべりき。御母。薄(はく)太后に。孝行なり。よろづ。食事を参らせらるる時。まづ。自ら聞し召し。こころみ給へり。兄弟もあまたましましけれども。此の帝ほど。仁義を行ひ孝行なるはなかりけり。
この故に。陳平。周勃など。いひける臣下たち。王になし参らせたり。それより漢文帝と申侍りき。
しかるに孝行の道は。上一人より。下万民まで有べきことなりと知るといへども。身に行ひ。心に思ひ入る事は。なりがたきを。忝くも。四百余州の天子の御身として。かくの如きの御ことわざは。尊かりし御心ざしとぞ。去るほどに。代もゆたかに。民も安くすみけるとなり。
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