呉猛。子どもの自己犠牲の上に成り立つ親孝行は痛ましいものです。
国立国会図書館デジタルコレクションより
呉猛
夏夜無帷帳 蚊多不敢揮
恣渠膏血飽 免使入親闈
呉猛は。八歳にして。孝ある人なり。家まどしくして。よろづ心に足らざりけり。されば。夏になりけれども。(し)帳もなし。呉猛自ら思へり。我衣を脱ぎて。親に着せ。我が身はあらはにして。蚊にくはせたらば。蚊も我身を食らひ。親を親をたすけむと思ひ。すなはちいつも。夜もすがら。裸になり。我身を蚊にすはせて。親の方へ。蚊の行ぬやうにして。仕へたるとなり。いとけなきものの。かやうの孝行は不思議なりしこと共なり
ーーー