二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

絵巻/加言二十四孝・20 呉猛「蚊は父よりも優しく」

真夏に父親が蚊に食われないよう、裸になって自分が犠牲になる呉猛

『加言二十四孝』下巻 [写]国立国会図書館デジタルコレクションより

呉猛
呉猛八歳にして親に孝也 家貧しうして夏蚊帳を釣る
力なかりければ おのれ裸に成て其衣を親に着せば我身
ばかりを蚊のくひて親を蚊のさすことはあるまじきとて
其如くしけりとなん 孝心感じたる事也 かるに此親八歳
の子の斯くの如くするをしらざるや おのれは子の衣をかぶり着
て蚊をふせぎいとけなき子はあかはだかにて蚊に喰はるるを知ら
ずに長の夏中寐てのけたるにや あまりし(?)きのそんなる
親なりけり もし又其事は知りながらおのれのみ蚊のすくなき
を悦て子の苦しみを憐まざる親にては親の情は無き人也
畜類鳥類にも劣りたりといふべし 呉猛もかくせずとも何
とかよき了簡もあるべからんが何をいふにも八歳の童にては
十分の智恵なるべければ其論には及がたし 蚊も此小児の志
を感じて孝子のこころざし呉猛とも千万なれば呉猛
にはさすこともなしがたし 親はあまりにのろまなれば此親
をこそ呉猛さまさしてやりたいと思へどそれにては孝子の
志を無にするなれば宝の山に入りながら觜を空しうして
帰ることか よしよし蚊屋の外とあきらめて帰るべしとて皆々
帰らんとしけると見て呉猛がいふやう振舞水同様に
振舞からだと札を出して置た程の我等をばなぜ来てささ
ぬと咎めければ餘多の蚊がいふやうお心入は千万忝けれ
どさういはれては義理にもさされぬ しかしお志がに無になる
から さしたぶん たべたぶん 諸事ぶんぶんぶんといひて飛
さりしとぞ

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蚊は親孝行な呉猛の気持ちを知って、ノロマな父親を刺してやろうと考えますが、でもそれでは呉猛の孝心が無駄になってしまう・・・と逡巡します。呉猛はどうして僕を刺さないの、とたくさんの蚊に文句を言いますが蚊は呉猛を思いやって遠慮気味。

>さしたぶん たべたぶん 諸事ぶんぶんぶん

よくわからないけど、なんかかわいい。ぶんぶんぶん。

>呉猛とも千万なれば呉猛にはさすこともなしがたし 
>親はあまりにのろまなれば此親をこそ呉猛さまさしてやりたいと思へど

「もっとも千万」「思うまま」「思うさま」などが隠れているのかな。