二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

絵巻/加言二十四孝・19 庾黔婁「怪しいお医者さん」

北斗七星に祈る庾黔婁。右上に七つの星が見えます。

『加言二十四孝』下巻 [写]国立国会図書館デジタルコレクションより

庾黔婁
庾黔婁はせんりやう縣の官人と成て其所に行
けるにいまだ十日にも及ばずしてむなさわぎし
ければ父の煩ひ給ふにやと官を捨て帰けるに
果して父大病にして今を限りと見ゆる躰なれば
黔婁 醫に善悪を問ふに医の曰 糞をなめて味ひ
甘く苦くは病癒べしといふ 黔婁父の糞を試る
に醫のいふには異なりければ かなしみにたへずして
わがいのちをとりて父の命をたすけ給へと北斗の
星に祈誓せし程の孝行なりとしるせる迄にて
後のことは見えず 斗聞入給ひて黔婁が命を
とりて父を助け給ふとか 又は孝行によりて父の
病を快気せしめ黔婁も何事無かりしとかあらば
あるべきをさも書かざりしは人の命数は北斗の力
にも及ばざる事なれば医者がいふ通りではおれが
力にも及ぶまいがまづ北斗考て見やうが先是ぞと
いふ妙見もなし至て大病なれば又外へも祈誓を掛
て見るがよからふ 今が祈願の最中であらふなどと
にえきらぬ逃口上をのたまふ内 父空しく成しと
聞給ひておれは最初からとてもいかぬ病人と見た故
断て仕廻たが跡は王子か堀の内か太郎かなどと
へらず口をききたまひしなるべし

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「庾黔婁は自分の命に代えても父の病を治してほしい、と祈るほどの親孝行でした」と書かれているが、後日談が書かれていないことに岡持先生不満そうです。願いかなって父親は治り庾黔婁は父親の代わりに死んでしまったのか、もしくは二人とも無事だったのか、そこが重要なのにね。たしかにこの絵巻同様「庾黔婁は星に祈りました」で終わる本は多いです。

後半部分ではギャグを言いたいために勝手に父親を病死させてます。

意味のよくわからない「甘く苦くは病癒べし」については書籍/二十四孝 (中野市右衛門1632)・19 ゆ黔婁 - 二十四孝に会いに行く!をご覧ください。