2018-07-31 女庭訓・3 老莱子 老莱子(ろうらいし) 書籍/女庭訓(渓斎英泉1843) 老莱子 戯綵娯親「戯綵(ぎさい) 親をたのしましむ」 老莱子は二人の親に仕たる人なり されば老莱子は七十にして 身にいつくしき衣をきて をさなきもののかたちになり まなびたはむれ 又親の為に給仕するとき わざとつまつき ころびなどし 幼きものの泣く様に泣きけり 此の心は七十になりければ 年よりてかたちうるはしからざるほどに さこそこのかたちを親の見たまはば わが子の年よりたるを 悲しく思ひたまはん事をおそれ 又親の年も寄りたると思はれざるようにとのために かやうのふるまひをなせし事 誠に親孝行の心ざし あはれにもいと優しき人也 ―――