二十四孝に会いに行く!

中国の親孝行な人たち・二十四孝に関するものを紹介していきます。

初頴日記故事・7 えん子







周の代にえん氏といひし人 名字をしらず うまれつき孝あり 父母老て眼をわづらふ事あり 鹿の乳は眼をいやす薬なりとてこれを飲まん事をねがふ えん子鹿乳をとらんと 鹿の皮を身にまとひ山奥に入て むらがる鹿の中に入り 鹿の乳をとりて 父母にたてまつるとなり 時に猟子ありて えん子が鹿の皮を着たるを鹿なりとこころへ 弓にて射んとしける えん子猟子に向ひ親のために鹿乳をとらんとて山に入たるよしをつぶさに語りければ 猟人その孝心を感じ弓矢をおさめたるとなり
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とし老たる親の鹿乳をのまんことをのぞむゆへに褐毛と毛ある衣を着て山に入りしとなり この時声を高くなしてそのよしをかたらずば 山中にておもひよらず矢に中り帰るべきを 孝心を天のめぐみたまひてあやふき矢先をのがれたるとなり